本当は怖い心臓とストレスの関係:拡張型心筋症の話⑤

どうも、Mormorです!

 

「本当は怖い心臓とストレスの関係」の続きです。

 

 

 

 

●前回までのあらすじ

・主治医に心臓血栓が脳梗塞や肺梗塞を引き起こす可能性が有り、最悪死ぬ事も有ると説明を受けた。

・拡張型心筋症は基本的に治癒が難しい病気で、治療と言うより進行を遅らせられるだけである。

・案外ショックを受けるより諦めの境地に達し、今後の事は奥様に一任して治療に専念する事に。

 

 

 

治療は基本薬剤投与なので、午前中の診察や検温・血圧測定以外は何もする事が有りません。
食事は禁止ですし、水分も制限が有るので基本点滴で、飲みたい時は予め買っておいて貰ったペットボトルの水かお茶を少しづつ飲むだけです。

スマホも無くPCも無く、ICUにはTVも無いので本当にする事が有りません。
幸い、初めの何日かは今まで呼吸困難でロクに寝られなかったので、酸素吸入のお陰で寝られる様になったのを良い事に、ひたすら眠る毎日でした。

たまに点滴の薬剤が切れると、機械から警報音が鳴って看護師さんが来て交換して行く以外にはイベントも有りません。

ICUは個室では無く、ベッドが6床程並んでいて、仕切りはカーテンなので音は聞こえて来ます。
私以外の患者は皆高齢者の様で、夜中にナースコールで看護師さんが呼ばれると、手術後の痛みを訴えたり、眠れないと言う様な事を言っていました。
中には痰が絡んで呼吸困難になって吸引してもらわないといけない方もいました。

困ったのは86歳の元気なおじいちゃんが、30分毎に看護師さんを呼んでは「ワシはもう元気だから退院したい」とか、「いつ退院出来るのか?」とか、「ちっとも面会に来ないが、もしかして迷ってないか?」とか夜中に大声で喚いていて、折角眠りに落ちそうになった所で起こされてしまう事でした。
そのお爺さんは3日後に一般病棟に移されたので、ようやく静かになりました。

ICU生活は2週間程続き、する事が何も無いので色々考えました。
人間、不思議なもので、いつ死んでもおかしく無いと言う状況になると死にたく無くなります。
そして、「人間って案外簡単に死んじゃうんだな〜」と思いました。

人間にとって、死ぬと言う事はそこで全て終わると言う事なので、逆に言えばそれ以外の事なんてどうだって良い事だと思う様になりました。

幸い、自分が死んでも後の事は大丈夫そうだと思うと、死んだらそれまでの事だし、今は治療に専念しようと言う気になりました。

色々悩んだ事も有りましたが、今となっては全て「どうでも良い事」です。
人にとって、死ぬより重大な事なんてこの世に存在しませんから。

2週間ほど経ったある日、体重を測ると言う事で、一旦ベッドから降りる事になりました。
毎日3リットル近い水分が出ていたので当たり前かもしれませんが、体重が18kgも落ちていました。
2週間で10kg増えた時も驚きましたが、飲まず食わずで点滴だけで、しかも利尿剤使って経口補水を制限すると、こんなに減るとは驚きました。

例によってベッドの上で上半身を起こして撮ったレントゲン写真では、見事に白い影が消えて綺麗な肺になっていました。

そして、漸くICUから一般病棟に移動する事になりました。

 

 

 

 

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