987ケイマンSの事:その⑨
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どうも、Mormor(もるもる)です!

 

今回は987ケイマンでサーキットを走るために必要なものシリーズです。

 

 

 

①まずは何は無くとも安全装備

どんなクルマで走るにしても、安全装備は真っ先に揃えるべきです。

まずはコレが無いとサーキットを走る事が出来ない、ヘルメット。
ヘルメットには2輪用と4輪用が有ります。

帽体が異なっていて、4輪用は自動車で使用する事を前提とした構造になっています。

私はメガネ使用を前提としたAraiのGP-5Wを使用しています。

 

 

 

 

続いてはコレもサーキットを走る時に必須のレーシンググローブ。

ツーリング用の指が出るタイプでは無く、指先まで全て覆うタイプが必要です。

更にFIA公認タイプであれば耐火構造になっており、万が一の場合も安心です。
また滑り難くする加工も施されており、確実な操作にも役立ち、万が一キックバックでステアリングが外力によって回されてしまった場合の火傷を防ぐ事も出来ます。

 

 

 

 

続いてはレーシングスーツ。

走行会だと、「長袖・長ズボン」と言うレギュレーションが多いですが、万が一車両火災になった場合、燃え易い衣服では命に関わる火傷を負ってしまう可能性が有ります。

実際、草レースで大事故になって火災が発生し、ドライバーが瀕死の重傷を負ったケースが有り、これも是非とも揃えて頂きたいアイテムです。

ちなみに、フェイスマスクなどもFIA公認の耐火構造の製品を使用する事をお勧めします。

 

 

 

 

続いてはレーシングシューズ。

これも走行会だと「運転し易い靴。サンダル不可」位のレギュレーションですが、やはり車両火災を想定した場合、FIA公認のレーシングシューズの使用をオススメします。

レーシングシューズは靴底が薄く、アクセルやブレーキペダルの微細な調整がし易く、滑り止め加工も施されているので、少々お高いですが買う価値は十分有ります。

 

 

 

 

続いてはHANSデバイス。

事故の時に、ヘルメットを被った重い頭が持って行かれて頸椎を損傷する事を防ぐものです。

ヘルメット側にHANS用のアンカーを取り付ける必要が有り、また4点式以上のシートベルトが必須になります。

しかし万一の場合に頚椎の損傷を防ぎ、半身不随になったり死亡する事を防ぐものですので、これも是非とも装備して頂きたいアイテムです。

昔はとても高価でしたが、今は安くなって買い易い値段になりました。

 

 

 

 

②バケットシートと4点式以上のフルハーネス

サーキット走行では、高速度で走行する為、一般道を走っている時には想像できない程のGが掛かります。

その為、ノーマルシートでは体が振られて正確な操作が出来ない恐れが有ります。

また万一の場合、標準装備の3点式シートベルトでは拘束力が足りずに体が投げ出されてしまう可能性が有るので、4点式以上のフルハーネスの装着が望ましいです。

バケットシートには4点式以上のフルハーネスの装着が可能になっている製品が多いので、バケットシートの装着+4点式以上のフルハーネスの装着がオススメです。

HANSデバイスも4点式以上のフルハーネスの装着が前提となっているので、サーキットを走るのであれば、揃えた方が良い装備です。

 

 

 

 

③クルマのチューンナップはブレーキから

「チューン」と聞くとエンジン周りや脚周りを想像する方が多いと思いますが、サーキットを走る場合に真っ先にやるべき事は、ブレーキの強化です。

「ブレーキの強化」と言っても、いきなり2ピースローターに交換するとか、ビッグキャリパーにするとかでは無く、まずはブレーキパッドをサーキット走行向けのフェード温度が高いタイプに交換する事です。

加えて、サーキット走行向けのパッドでは、摩材の固定部分にピンが立っていて、万一の場合でも摩材が剥がれてしまわない様になっている物も有ります。

ノーマルパッドは300℃~350℃でフェードが始まるのに対し、スポーツパッドは400℃~700℃になっています。

但し、対応温度が高いもの程低温時の効きが良く無いので、いきなりレーシングパッドにするのでは無く、スポーツパッドから始めた方が無難です。

また、ブレーキフルードも沸点の高いDOT4以上にする事をオススメします。
DOT3のフルードの沸点は205℃位ですが、DOT4のフルードは230℃以上になっているので、サーキット走行時にベーパーロック(ブレーキフルードが沸騰して泡が生じ、ブレーキ踏力がキャリパーに伝わらなくなる現象)を抑制できます。

但しDOT5などの製品は吸湿性が高く、レーシングカーの様に走る度に交換するなら問題になりませんが、交換サイクルが長いと水分が混入し易く、ベーパーロックを起こし易くなるので注意が必要です。

 

 

 

 

④タイヤ&ホイール

ブレーキを強化したら、次はタイヤです。

サーキット走行では、通常なら絶対に起きない、タイヤが熱でトロける状態で使用する事が前提になります。

一般道ではまずタイヤが溶ける事は有りませんが、サーキットではタイヤが溶けてからが本当の勝負です。
なので、タイヤの性質が全く異なります。

いわゆる「ハイグリップタイヤ」と言うのは大抵コンパウンドが柔らかく、熱が入ると溶けて粘り付き易いものが多いです。

またタイヤのパターンも全天候型のタイヤと異なり、ドライ路面を前提としたミゾの少ないタイヤが多いです。

いきなりSタイヤの様なセミレーシングタイヤを履いても、上手く熱が入れられなくて効果を発揮出来ない事も多いので、まずはハイグリップタイヤから始めると良いのでは無いかと思います。

またサイズは基本的に標準装着のタイヤから大きく外れないものを推奨します。
基本的にタイヤ外径や幅は、その車の設計上で最適なサイズが標準になっています。
特にPORSCHE車はタイヤに対する依存度が高いので、不用意にサイズを変えるのはオススメ出来ません。

 

 

 

ホイールに関しても、サーキット走行は想像も出来ないストレスが掛かるので、ホイールが歪んでしまったりする場合が有ります。

なので、スポーツ走行向けに強度が有って軽いホイールの使用をオススメします。


PORSCHE車の場合はノーマルでも軽くて強度の高いホイールを履いていますが、ノーマルホイールは非常に高価(987ケイマンSのノーマルホイールは一本18万円位します)なので、その意味でもサーキット用ホイールは有った方が良いです。

 

 

 

場合によっては、ホイールにスペーサーを入れる場合も有ると思います。

その場合、軽量で精度の高いものを使用しないと、高速走行で振動が出たりします。

 

 

 

 

また、スペーサーを使用する場合、ロングボルトを使用しないと、負荷が掛かってボルトが外れたり折れたりする可能性が有ります。

なので、しっかりとしたロングボルトの使用を推奨します。
特にPORSCHE車の場合は座面がテーパーでは無く球状なので、注意が必要です。

 

 

 

 

⑤脚周り

安全装備を揃え、ブレーキパッドをスポーツパッドにし、ブレーキフルードを沸点の高いものに変え、タイヤ&ホイールもスポーツ走行向けのものにしたら、その次は脚周り。

まずは定番の車高調…と行きたい所ですが、自分に必要なのかどうか良く考えた方が良いです。

サーキットを走り出すと、ノーマルサスペンションでは柔らか過ぎてロールが気になる様になります。

まず考えるのは車高を下げる事ですが、それだけなら車高調でなくてもローダウンスプリングに変えるだけで事足ります。

また車高調と一口に言っても、BILSTEINのダンプトロニックを使ったものの場合はPASM(PORSCHE ACTIVE SUSPENTION MANAGEMENT SYSTEM = 電子制御可変ダンパー)を活かす事も可能です。

またアッパーマウントがノーマル同様ゴムブッシュなのか、ピロボールなのか、ショックアブソーバーの減衰調節が縮み側だけなのか、伸び側/縮み側両方調節可能なのか…などなど、色々な仕様が有り、バネレートや減衰力も多種多様です。

この辺りはそれぞれの考え方次第なので難しい所ですが、私の様に95%一般道、5%サーキット程度だと、バネレートが余り高すぎると普段使いに支障がでますので、乗り心地とサーキットでの挙動を考慮して決める感じでしょうか。

参考までに、ウチの車の場合、Aragosta Type-S+H&Rの強化スタビライザーが入っています。

Aragosta Type-Sはネジ式の車高調整式サスペンションキットで、単筒式高圧ガスショックを使用した倒立ショックアブソーバーで縮み側のみ調節が可能で、バネはRANAのF6kg/R8kg(メーカー推奨値)です。

アッパーマウントはピロボールになっています。
ピロアッパーなので、それなりに音は出ますが、気になる程では無いです。
Aragosta Type-Sはオーバーホールに対応しているので、ショックがヘタった時はオーバーホールや仕様変更も可能です。

この位のバネレートなら、4輪ストラットでもギリギリ普段使い出来ますし、ロールスピードに関してはH&Rの強化スタビライザーを使用する事で抑えています。

減衰力調整は20段階で、一般道では0、サーキットではミニサーキットならF14/R10位、高速サーキットならF18/R12位に調整しています。

車高に関しては基本推奨値にしており、約30mm車高ダウン、前後の高さはほぼ水平になる様にセットアップしています。

 

 

 

 

また987ケイマンのフロントはネガティブキャンバーが付けられない仕様の為、対策として997GT3の調整式フロントロアアームを移植しています。

(写真上がGT3ロアアーム、下がノーマル)
ご覧の通り、GT3ロアアームはシムを挿入する事で長さを変える事が出来、ネガティブキャンバーが付けられる様になります。

それによってフロントのコーナリングフォースが増大し、アンダー傾向が是正されます。

ちなみにこれを導入するまで、車高調でフロントを低めに、リアを高めにしてバランスを取っていました。

車高をフロントを低めに、リアを高めにする事で、フロントは接地面圧が上がって喰う様になり、リアは高めなのでブレーキングで荷重が抜けて滑り出し易くなります。
そうする事で、アンダーの挙動を極力抑える方向でした。

但し、ネガティブキャンバーを付けるとキャスター角も同時にどんどん寝て来てしまい、轍にハンドルを取られ易くなったり、ハンドルが重くなります。
その対策で、若干トーアウトにセットアップされています。

足回りは凝り出すと何処までも止まらない沼なので、あまり深みにハマら無い方が身の為ですが、そのクルマと使い方に合ったものをSHOPに相談してみると良いでしょう。

 

 

 

 

⑥駆動系

ここまで来ると、今度はタイトコーナーで内側の駆動輪が空転して外側のタイヤに駆動力が伝わらなくなる現象が気になる様になります。

(写真はウチのクルマのOS技研製スーパーロックLSD1.5Way)

車高が下がってサスペンションが硬くなると、コーナーでロールし難い代わりに内側のタイヤの荷重が抜け易くなり、外側のタイヤに荷重が集中しますが、そうなるとディファレンシャルギアの働きで空転しているタイヤに駆動力が流れてしまい、接地している外側では無く、荷重の抜けた内側に駆動力が行ってしまいます。

結果、前に進まない現象が発生します。
これはタイトコーナー、しかも高低差が有るコーナーでは顕著です。

また路面状況が左右で異なる場合(片方が濡れていて片方が乾いている、あるいは路面のμが左右で異なる)様な場合、クルマがフラフラしてしまったりします。

そうならない様に、ディファレンシャルギアの差動を制限する装置がLSD(Limited Slip Differential = 差動制限装置)です。

これを装着する事によって、タイトコーナで前に進まない現象が緩和され、左右でμが異なる状況でも安定して走る事が出来ます。

LSDにもアクセルオンの時だけ効く1Way、アクセルオンの効きが強めでオフ時にも効く1.5Way、アクセルオン/オフの両方で同じ様に効く2Wayなどが有り、ロック率も様々です。

クルマの駆動方式やサスペンションによっても変わって来るので、そのクルマを得意とするSHOPに相談した方が良いです。

 

 

 

 

⑦ウデ

結局コレが無いと何にもなりません。
でも何もラップタイムが速いだけが能じゃ無いです。

速い車に乗ってれば速いのは当たり前。
それよりも上手くなる事が重要です。

 

 

「じゃあ、上手いってナニ?」

 

あくまでも個人的な意見ですが「上手さ」にも色々有って、

 ①.まずルールをしっかり守れる事
   →ルールを守るのは基本中の基本。特にサーキットではルールを守らないと思わぬ大事故に繋がります。

 ②.マナーを守れる事
   →これも大事な事で、追い越す時、追い越される時、譲って貰った時、譲る時…などなど、サーキットでも大事なマナーは有ります。マナーが守れてこそ「上手い」運転です。

 ③.コントロールの精度が高い事
   →アクセル/ブレーキ、ステアリング操作、クラッチ操作…などなど、クルマの運転に必要な動作を緻密に、キメ細かく制御出来るのが「上手い」人。レーシングドライバーの場合、それこそアクセル操作も30段階位には踏み分けられますし、ブレーキもステアリング操作も同様です。

 ④.冷静な判断が出来る事
   →サーキットではアツくなりがちですが、落ち着いて走る事も非常に重要です。コーナーポストの旗や、信号、コースコンディション、他車との関係、自車のコンディションや状況を的確に判断して走る必要が有ります。

最低限、上記の4つは満たしていなければ「上手い」とは言えないと思っています。

無論、これを書いている自分自身、まだまだ「上手い」と言う領域には程遠いです。

こればっかりは実践有るのみで、走らなければ上手くはなりません。
また、有る程度継続していないとウデは鈍ってきます。

一番良いのは上手い人から教わりながら走る事。
レーシングドライバーがインストラクターを務めるドライビングレッスン、しかも広場トレーニングから始めるのがオススメです。

いきなりコースに出るより、広場やジムカーナ場で、まずは自分のクルマの限界を知り、限界を超えた時の挙動を叩き込んでからコースに出た方が安心感が違います。

またFSWなどの広いコースだとライン取りも曖昧になりがちなので、プロドライバーに自分のクルマを運転してもらう逆同乗が可能なレッスンだと、目からウロコで、ブレーキングポイントやステアリングを切り始める位置、ブレーキのリリースポイント、アクセルONのタイミングとその開度…など、ありとあらゆる事が実際に体験しながら学べるので超オススメです。

 

 

と言う訳で、987ケイマンでサーキットを走るために必要なものシリーズでした。
ケイマンに限らず、高性能スポーツ車の性能を解き放つには、公道上ではリスクが大き過ぎるので、きちんと準備した上でサーキットを走るのがオススメです。

 

 

 

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