987ケイマンSの事:その25
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どうも、Mormor(もるもる)です!

 

ウチの987ケイマンSは、サーキット走行を考えてAragosta Type-Sを装着しています。

加えてH&Rの強化スタビライザーも装着しています。

 

本来Aragosta Type-Sのショップ推奨のスペックはF:10kg/R:12kg位のバネレートでしたが、ウチの987ケイマンSはF:6kg/R:8kg(メーカー推奨値)です。

自分の使い方だと一般道95%/サーキットが5%位で、流石にF:10kg/R:12kgだと一般道が辛いので、バネレートはメーカー推奨値にして、その代わりスタビライザーを強化してロールスピードを抑える方向でセッティングしています。

 

 

元々987ケイマンSにはPASM(PORSCHE ACTIVE SUSPENSION MANAGMENT )が付いていました。

BILSTEINの電子制御可変ダンパー「ダンプトロニック」を使用した電子制御可変サスペンションです。

各種のセンサーからの情報からリアルタイムに減衰力を調整すると言うのがウリのシステムで、スポーツモードにしていても路面のμが低くなると自動的に減衰力を柔らか目にしてトラクションを稼ぐ機能なども有り、乗り心地と運動性能を両立させようとするものです。

PASM装着車は車高が10mm下り、それにも関わらず良好な乗り心地を維持しています。

実際の所、PASMを「SPORT」に切り替えるとかなりダンピングレートが上がった感じになり、ロールが抑えられます。
但し、“あくまでも公道レベルの速度域なら”と言う前提でのハナシです。

サーキットレベルになると、そもそもバネレートが3kg/m台と決して高く無いので、いくらダンパーが硬くなっても思いっきりロールします。

またバネが柔らかいままダンパーが硬くなるので、サーキットで縁石を踏む様な状況下では飛び跳ねてしまい、却ってトラクションに悪影響を与えます。

公道レベルのスポーツとコンフォートを両立出来ているのがPASMです。

 

 

 

 

と言う訳で、今回はサスペンションについて書いてみようと思います。

 

 

 

 

 

 

①直巻バネと荒巻バネ

一般的にノーマルサスペンションのバネは、樽型の荒巻バネが多いです。

ノーマル形状(樽型)のバネは径の大きな所で乗り心地を確保し、径の小さな所で高速時のダンピングレートを確保している事が多いです。

 

ノーマル形状のバネのメリットは、

①.車種別に作られているので、そのクルマに特化した仕様に出来る。
②.比較的自由長が長いので、接地性は比較的高い。
③.直巻タイプに比べ、乗り心地に優れる。

 

ノーマル形状のバネのデメリットは、

①.バネに汎用性が無いので、仕様変更にはコストが掛かる。
②.レートが一定でないので、荷重移動に対する動きがリニアでない。
③.構造上、あまり高いバネレートに出来ない。

 

 

逆に、直巻バネのメリットは、

①.汎用的に作れるので、使い回しが効き、仕様変更のコストが安い。
②.バネレートが比較的一定に近く、荷重移動に対する動きがリニア。
③.高いバネレートのスプリングにする事が可能。

 

直巻バネのデメリットは、

①.バネレートが比較的一定なので、当たりが強く乗り心地が悪い。
②.荒巻バネに比べ、自由長が短くなるので接地性は劣る。
③.汎用のバネの場合、車種別に作ったバネほど特化した仕様に出来ない。

 

 

メーカーが乗り心地や運動性能や様々な要素を考えて、車種別に作るノーマルサスペンションに荒巻バネが多いのは、こうしたメリット/デメリットを考慮した上での事です。

 

 

 

 

しかし、サーキット走行を視野に入れる場合、こうした汎用的に作られたサスペンションでは思い通りの性能を発揮出来ない場合が多いです。

ノーマルのバランスを崩す事にはなりますが、乗り心地やNVHなどの快適性を捨ててでも、コーナーでの安定性やサスペンションのリニアな反応を取るのも、1つのサスペンションチューニングという事になります。

 

 

アフターパーツの車高調に直巻バネが多いのは、レートやバネ径が標準化されているので、車種が違ってもバネを流用する事が出来、セッティング変更に対応し易い事、バネレートが比較的一定の為、荷重移動に対するクルマの動きがリニアである事が大きいと思います。

 

 

ちなみに、バネの性能はレートだけで語る事は出来ず、バネレートは同じ10kgであっても、自由長が違えば耐荷重が変わって来ます。

またバネとショックアブソーバーの組み合わせによっても耐荷重が変わって来るので、サスペンションの世界はとても奥の深い世界なのです。

 

 

 

 

②電子制御サスペンションのテクノロジー

987ケイマンSに付いているPASMはBILSTEINの電子制御可変ダンパー「ダンプトロニック」を使用していますが、現在は「ダンプトロニックSky」へと進化しています。

「ダンプトロニックSky」は縮み側だけでなく、伸び側の減衰力も独立して制御する様になっており、より細かな制御が可能になっています。

 

 

 

 

Type991以降にはPDCC(PORSCHE DYNAMIC CHASSIS CONTROL)と呼ばれる電子制御可変スタビライザーがオプションで装着可能になりました。

電子制御でスタビライザーの効きを制御し、車両を安定させるもので、フラットな姿勢を維持したままコーナーを曲がる事を可能にしています。

 

 

こうした電子制御サスペンションは、ある程度までの領域であれば、良好な乗り心地とフラットライドを両立させ、かなりのアベレージでコーナーを曲がる事を可能にしています。

但し、こう言った電子制御サスペンションは車種別に開発されており、PASMの様な電子制御可変ダンパーとPDCCの様な電子制御可変スタビライザーを連携させたトータルで設計されている為、ますますアフターパーツへの交換を難しくしています。

 

 

電子制御式サスペンションは2つの相反する要素を高いレベルで実現していますが、流石にサーキット走行まで行くと対応しきれていないと言うか、そこまでは想定していないのが実情では無いかと思います。

ダンパーのレートが可変でも、バネレートは変わらないので、ロールするスピードは抑えられてもロール自体が減る訳では有りません。

スタビライザーも同様で、接地性を高める方向とロールを抑えると言う2つの要素を高いレベルで実現していますが、荷重移動に対するクルマの動きを考えると、切り替わる前後の差が有るのはあまり良いとは言えません。

 

恐らく、サーキットレベルの走行に対応したいとなると、今の所電子制御可変ダンパーやスタビライザーより、シンプルなダンパーとスプリングを組み合わせた車高調と、固定式のスタビライザーの方に一日の長が有る様に思います。

 

 

 

 

③インボードマウントとアウトボードマウント

F1マシンや、一部のスーパースポーツはインボードマウントのサスペンションを採用しています。

F1の場合は空力的な観点からボディ内にサスペンションを内蔵する様になりましたが、スーパースポーツの場合はサスペンションの設置の自由度からインボードマウントを採用しているケースが多い様です。

車種別専用設計になってしまう為、コスト的にスーパースポーツでないと採用し辛いと言う事で、量産スポーツカーに採用される事は稀です。

それでも、インボードマウントサスペンションは個人的には憧れのサスペンションです。

 

 

と言う訳で、今回はサスペンションの話でした。

サスペンションは奥が深くて、幾らでも深堀り出来てしまうので、そこそこで止めておいた方が無難ですね(笑)。

 

 

 

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