987ケイマンSの事:その16
広告

スポンサーリンク


どうも、Mormor(もるもる)です!

 

987ケイマンSはPORSCHEのミッドシップスポーツのBoxsterから派生したクルマなので、ミッドシップです。

PORSCHEのアイコンでRRの「911」の呪縛から逃れた記念すべきミッドシップスポーツの986Boxsterの次の世代の987世代で、ハードトップのケイマンが登場しました。

今回はミッドシップ・リア駆動としての987ケイマンSについて書いてみたいと思います。

 

 

①.PORSCHEのミッドシップカー
②.ミッドシップ・リア駆動の長所
③.ミッドシップ・リア駆動の短所
④.ミッドシップスポーツとしての987ケイマンS

 

 

 

①PORSCHEのミッドシップカー

PORSCHEのミッドシップの歴史は古く、1954年に356のエンジンをベースに4カム化したエンジンを搭載した550スパイダーが有ります。

ジェームスディーンの愛車としても有名です。

 

 

 

 

1957年、ポルシェ・550を全般的に大きく改良して製作された718RSKが登場し、1960年にスイングアクスルからセミトレーリングアームに変更したRS60が出ました。

この718は、水平対向4気筒エンジンだったため、現在の982Boxsterは4気筒エンジンにちなみ「718Boxster」となりました。

 

 

 

 

サーキットの狼世代に刺さる、PORSCHE914−6。

「ワーゲン・ポルシェ」と呼ばれたノーマル914の水平対向4気筒に対し、2リッターの水平対向6気筒を積むモデルで、言わばBoxster/Caymanのご先祖様と言った感じです。

 

 

 

 

911に依存して経営に苦しんでいたPORSCHEを救った救世主とも言える、986Boxster。

MAZDAロードスターに触発されて、ライトウェイトスポーツとして生まれたBoxster。
986Boxsterは2.5リッター水平対向6気筒エンジンを搭載し、俊敏さが身上です。

その後2.7リッターへと排気量を拡大し、Boxster Sで3.2リッターまで拡大されました。

 

 

 

 

そして987Boxsterが登場。

写真は718RS60をモチーフにした限定モデルですが、この987Boxsterをベースに生まれたのがクローズドボディの987ケイマンSです。

 

 

 

 

987Boxsterをベースに、クローズドボディ化したのが987Cayman。

言わば「屋根付のBoxster」なのですが、これが意外に屋根が付いただけでは有りませんでした。

Boxster比2倍と言われるボディ剛性は、思ったより様々な部分でアドバンテージになっていました。

ボディ剛性の向上は、そのままサスペンション剛性にも繋がり、不整路面や大入力が入った状態のサスペンションの動きは明らかに違います。

思ったより重量が軽くなっていないのは、裏を返せばボディ剛性の向上に繋がっています。

Boxsterも並のオープンスポーツを大きく凌駕するシャシー性能を持っていますが、ケイマンのそれは911に迫る位です。

981系になってホイールベースが伸びたにも関わらず、更にボディ剛性が向上し、よりスタビリティが向上しましたが、その代わり987系までの俊敏さは無くなってしまいました。

 

 

 

 

②.ミッドシップ・リア駆動の長所

RRの911程のトラクションでは無いものの、ミッドの低い位置にエンジンを搭載している987ケイマンSは、やはりトラクションに優れています。

流石にCP以降の立ち上がりでは911に勝てませんが、立ち上がりの911に対して、進入からCPまでの速さならGT3をも凌駕する素質を持っています。

そして987ケイマン/Boxster共に優れているのは、その限界特性だと思います。

MRのクルマは基本ピーキーで、限界を超えた時の挙動は非常にシビアです。
しかしケイマン/Boxsterの挙動は限界を超えてもいきなりすっ飛んで行く様な感じでは無いです。

以前、997型911で高速コーナーでオーバースピードで進入してしまい、アウトにはらんで咄嗟にアクセルを戻してしまった事が有りましたが、流石のマルチリンクのリアサスペンションでもRRに搭載されたエンジンが振り子の様に働き、それこそアっという間にスピンモードに入りました。

ギリギリアウトに逃しながら慎重にアクセルを踏んで、ギリギリの所でクリア出来ましたが、RRの怖さを改めて知りました。

ミッドシップでもFFユニットの流用の横置きエンジンの場合、重量バランス的に限り無くRRに近い挙動を示します。

その後991型911カレラSに試乗した時、400PSを全開にしても20〜30cm位ズレるだけでトラクションを取り戻すMR的な動きになっている事に驚いた記憶が有ります。

991型911はホイールベースを延長する事で重量バランスを改善し、RR特有の挙動を封じ込める事に成功しています。
それは恐らくホイールベースが伸びた事で、重量配分がミッドシップに近い方向に是正されたからでは無いかと推測します。

ミッドシップ・リア駆動の最大の長所は、その重量バランスですが、PORSCHEが拘っているエンジン搭載位置が987ケイマン/Boxsterの最大の強みに繋がっていると思います。

 

 

 

 

③.ミッドシップ・リア駆動の短所

それではミッドシップ・リア駆動の短所とは何でしょうか?

1つにはエンジンが車室と被っている関係で、室内空間が狭くなるという事、もう一つは車体の真ん中に大穴が空いている為に、ボディ剛性面で不利になる事が挙げられます。

 

高剛性を誇るケイマンSをもってしても、RRの911のボディ剛性に及ばないのは、リアハッチの開口部以上にエンジンベイの空間が大きな理由です。

987ケイマンSは、仮に不正路面や大入力が有ってもボディが捩れる様な感じはしませんが、それでも明らかに911の巌の様なリアボディとは全然違う事は分かります。

911は不利なRRながら、驚異のボディ剛性とマルチリンクサスペンションによる精緻なタイヤの位置決めで、最大の武器で有るトラクションを最大限に引き出し、常にスポーツカーの頂点に君臨しています。

 

 

 

 

もう一つの弱点は、重量物を中心に集めているが故のピーキーさに有ると思います。

真ん中に重量物が有るという事は、言い換えればコマの様に回り易いという事です。

987ケイマン/BoxsterはフロントのCFを意図的に下げる事で、基本的に弱アンダー傾向に仕上げています。

ウチの987ケイマンSの様に、997GT3のロアアームを移植してフロントのCFを上げる事は可能ですが、そのトレードオフで逆に言えば「曲がり過ぎる」傾向になります。

速度が乗れば乗る程この傾向は強くなり、すぐにスピンモードに入ります。
無論、セッティングで有る程度抑える事はできますが、それに対応する運転も必要で、スイートスポットはノーマルに比べて狭くなります。

 

 

 

 

④.ミッドシップスポーツとしての987ケイマンS

987ケイマンSの運動性能の高さは誰もが知る所ですが、それでも様々な制約のお陰で、理想的なミッドシップスポーツとまでは行きません。

PORSCHEのヒエラルキーの呪縛のせいか、ケイマン/Boxster系のリアサスペンションにはマルチリンクサスペンションが採用されていません。

 

 

 

ケイマン/Boxster系のリアサスペンションのトランスバース付ストラットサスペンションは、アーム長が長くタイヤのストロークによる対地接地角度の変化を最小限に抑え、ストラットサスペンションとしては異例とも言えるトラクションを確保しています。

しかし厳密に言えば、タイヤのストロークする動線をより厳密に制御するマルチリンクを使用すれば、更なるトラクションの確保が可能な筈です。

また、利便性のための大きな開口部を持つリアハッチについても、ボディ剛性的には良いとは言えません。

しかし、それでも991GT3系から移植されたフロントサスペンションを持ち、ジオメトリを見直した981/982GT4は、997系のGT3を凌ぐ程のパフォーマンスを手に入れています。

987ケイマンSは、それらの「役モノ」程のパフォーマンスは有りません。
しかし、「ミッドシップ・リア駆動」として、かなり理想的なボディ剛性/重量バランスを持っている事は疑い無く、またミッドシップらしい俊敏性を味わうなら、ロータスエリーゼ/エクシージと並んでこのクルマの右に出るクルマは少ないのでは無いかと思います。

 

 

 

広告

スポンサーリンク


 

にほんブログ村 車ブログへ
にほんブログ村