987ケイマンSの事:その15
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どうも、Mormor(もるもる)です!

 

987ケイマンSは良く知られている通り、PORSCHE伝統の水平対向エンジンを搭載しています。

今となってはPORSCHEとSUBARU位しか採用していない水平対向エンジンですが、その長所と短所、そして実際に乗ってみてどうだったのかについて書いてみたいと思います。

 

 

①.水平対向エンジンの長所
②.水平対向エンジンの短所
③.987ケイマンの水平対向6気筒エンジン

 

 

 

①水平対向エンジンの長所

一般的に水平対向エンジンの長所は、

1.低重心
2.回転バランスの良さ
3.重量バランスの良さ

で有るとされています。

実際、エンジン高は低く、タイヤの車軸付近にプラグが来る位の位置です。

また水平対向エンジンはピストンの動きが反対側の動きを相殺する様に動くので、基本的に回転バランスに優れ、非常に滑らかです。

そして前後長が短く、トランスミッションと共に縦置きが可能なので、左右の重量バランス的にも優れており、スポーツカーのエンジンとして申し分無い素性のエンジンです。

 

 

 

 

②.水平対向エンジンの短所

水平対向エンジンの短所は、

1.構造が複雑で部品点数が多い(高コスト)
2.排気系の取り回しが難しい
3.排気量の拡大やヘッド周りの改良が困難

と言う事が有ります。

「構造が複雑で部品点数が多い」と言うのは「直列エンジンと比べて」ですが、バランスシャフトが要らないと言う点はありますが、ピストンの下側になる部分のフリクションなど、水平対向ならではの問題も有ります。

(981Boxster/CaymanのMA-120エンジン)

「排気系の取り回しが難しい」と言うのは一般的に上から吸気して下に排気するので、エキゾーストの取り回しが難しく、特にRRの911系などを見ると、その苦労が偲ばれるレイアウトになっています。

「低重心」を謳っていますが、クランクシャフトの高さ的には排気系が下に来る関係でそれ程低い訳では有りません。
アメリカンV8のOHVなどの方が、クランクシャフトの高さ的には低いかもしれません。

そしてスポーツカーの心臓として一番致命的なのが「排気量の拡大やヘッド周りの改良が困難」と言う点です。

実際PORSCHEは排気量拡大するに当たり、ボアを拡げる事で対処して来ていますが、シリンダーの材質を見直したり、涙ぐましい努力をして4リッターまで拡大して来ました。

PORSCHEのエンジンはボアが大きくストロークが短いタイプなので、排気量の割に極低速の粘りが無く、案外あっけなくエンストします。

そしてDOHC化が遅れたのも、DOHC化するためにはヘッドが大きくなってしまい、エンジンの幅が広くなってしまう事が大きかったのでは無いかと思います。

結局水冷化に伴ってボディ幅を拡大し、それに伴ってエンジン幅も拡大、それで漸くDOHC化を達成しています。

 

 

 

 

③.987ケイマンの水平対向6気筒エンジン

987ケイマンSのエンジンは、水冷化された直後の設計のM97エンジンです。

(987ケイマンSのM97エンジン)

水冷化とコストダウンの為、空冷時代と違いシリンダーブロックは独立型から3気筒毎のブロックになり、911のターボやGT3に採用されていたGT1ブロックと違い、オープンデッキ構造です。

オイルの潤滑も「インテグレーテッド・ドライサンプ」と呼ばれる、ウェットサンプとドライサンプのあいのこの様なシステムで、オイルポンプは付いているものの、911GT3系の様に別タンク式のオイルタンクでは無く、オイルパンに落ちて来たオイルをストレーナーで集めてオイルポンプで圧送する方式になっています。
R35GT-Rなども同様の方式です。

今までかなりサーキットを走って来ましたが、油温が上昇した事は無いので、オイルの冷却に関してはスポーツカーとして全く問題無いレベルです。

重心高の低さは実際走っていても感じる所で、同じMRでも横置きFF車のエンジン・トランスミッションをひっくり返した形で搭載されたものと違い、エンジンが振り子の様に作用してオーバーステアになる様な現象は皆無です。

また回転バランスの良さに加え、エンジンが平べったいので回転方向にエンジンが捻れてしまう様な現象も皆無です。

私が以前乗っていたトヨタのALTEZZAでは、サーキット走行やジムカーナなどのスポーツ走行時に2速が無くなってしまう現象に悩まされました。

これはエンジンマウントが柔らかいのでエンジンとミッションが回転方向と逆に回ってしまい、結果的に2速の位置がシフトレバーの範囲外になってしまう事に依るものです。

結局エンジンマウントとミッションマウントを強化マウントに換えて解決しましたが、平べったい水平対向エンジンの場合、ノーマルのエンジンマウントでもそれほどズレないので、今の所問題無いです。

M97エンジン自体は設計上の問題も有って、完璧なエンジンでは有りません。
しかし水平対向エンジンの低重心・回転バランスの良さ・重量バランスの良さは実際にサーキットや峠を走ってもすぐに実感出来ます。

PORSCHEが拘るエンジン搭載位置の低さは明らかに運動性能に関わって来ていますし、平べったいエンジン故のエンジンの動きが少ない事も、スポーツ走行では重要なファクターです。

M97エンジンは、それ以降の直噴エンジンと違って回転の滑らかさはピカイチで、大袈裟に言えば12気筒エンジン並みのスムースさを持っています。

少なくとも987ケイマンSは、PORSCHEの拘る水平対向エンジンのメリットを味わえるクルマです。

 

 

 

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